2026年、京都の混雑を遠逃れて深緑の奥鞍馬へ——千年の聖地「鞍馬寺」が提示する都市ストレス時代の新しい旅のかたち
鞍馬寺の思想は、一般的な寺院の枠組みに収まらない。ここで祀られているのは「尊天」だ。千手観音菩薩(愛)、毘沙門天(光)、魔王尊(力)の三身が一体となった、宇宙の真理そのものを表す存在である。この包摂的な世界観が、宗派を超えて多くの人々を惹きつけて離さない。
本殿金堂の前庭に敷かれた「金剛床」は、宇宙のエネルギーが渦巻く場所とされる。石畳に刻まれた三角形と六芒星の図形。その中心に立ち、空を見上げて祈りを捧げる参拝者の姿は日常の風景だ。ただし、近年は写真撮影のための長蛇の列が生じることも珍しくない。寺側は静謐な祈りの場としての環境を維持するため、参拝マナーの周知に腐心している。