『殺戮の天使』レイの正体と過去の真相|両親事件と結末の生死を徹底考察
物語最大の転換点であり、多くのプレイヤーに寒気をもたらしたのが、最上階直前のB1フロア「レイの部屋」で明かされる過去の真相です。彼女は決して、偶然ビルに迷い込んだ可哀想な生贄ではありませんでした。
幼少期のレイチェルは、暴力と罵倒が日常茶飯事の泥沼家庭で育ちました。父親はアルコール依存と暴力に溺れ、母親は娘に当り散らし、食事すら満足に与えられないネグレクト(育児放棄)状態。家庭内には常に死臭のような破綻の空気が漂っていました。愛を渇望しながらも誰からも愛されない極限の孤立の中で、レイは「完璧で壊れない、自分だけのモノ」を求める精神異常を育んでいきます。庭で瀕死になっていた小鳥の傷を治そうと、針と糸で手縫いして殺してしまった行為は、彼女なりの歪んだ「救済と自己防衛」の芽生えでした。
悲劇の頂点は、両親による殺し合いの夜に訪れます。父親が母親を台所で刺殺した直後、レイは隠し持っていた父親の拳銃を手に取り、自らの手で実の父親を射殺しました。恐るべきは、その後に彼女が取った行動です。息絶えた両親の遺体を見て絶望するのではなく、「これでずっと私のものになる」と歓喜した彼女は、両親の肉体をパッチワークのように針と糸で縫い合わせ、椅子に固定して「理想の家族」を作り上げたのです。
この凄惨極まる猟奇殺人事件によって警察に保護されたレイは、精神鑑定のためにカウンセラーであるダニエル・ディケンズ(ダニー医師)の監護下に置かれます。そして、グレイ神父が統制するこの地下実験場ビルへと誘われ、自らの理想の部屋を与えられた「B1フロアの生贄を狩る側のマスター」として君臨することになりました。記憶を封じ込められていたのは、神父による精神操作と、罪悪感から自らの心を護るための解離性健忘によるものだったのです。