東京都庭園美術館の魅力と真相|旧朝香宮邸が絶賛される理由と予約の盲点
東京都庭園美術館を訪れる際、まず知っておくべきは旧朝香宮邸の歴史と経緯です。この類まれな邸宅の誕生は、1920年代のフランス・パリへ遡ります。久邇宮朝彦親王の第8王子である朝香宮鳩彦王は、陸軍大学校教官として軍務に就く傍ら、1922年からフランスへ軍事研究のため留学。滞在中に自動車事故で重傷を負い、看病のために渡仏した允子(のぶこ)内親王とともに、約3年間にわたる長期滞在を余儀なくされました。
この療養期間中の1925年、夫妻はパリで開催されていた「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」(通称:アール・デコ博覧会)を実際に訪れました。幾何学的な直線や波状パターン、エキゾチックな新素材を大胆に取り入れた最先端のデザインに、夫妻は深い感銘を受けたのです。帰国後、自邸の新築にあたり、装飾デザインの主導権をフランスの著名装飾美術家アンリ・ラパン(Henri Rapin)に全面的に依頼することを決断しました。
特筆すべきは、基本設計と構造設計を担った宮内省内匠寮(たくみりょう)の工芸技術です。内匠寮の技師・権藤要吉らは、西洋から届いた設計意匠図を単に模倣するのではなく、木工、漆喰、石材、金工といった日本伝統の超一流職人技をもって精緻に具現化しました。単なる「輸入品の洋館」ではなく、日仏の美意識が奇跡的な均衡で結実した結晶。これこそが、旧朝香宮邸のアールデコ建築が今日に至るまで国際的に高く評価され続ける最大の理由です。