読谷村・ガラス工房清天の魅力とは?廃瓶が紡ぐ琉球ガラスの真価
ガラス工房清天を語る上で欠かせないのが、代表である松田清春氏の職人としての歩みです。沖縄のガラス界で長年腕を磨いた松田氏は、観光客向けのお土産品としてのガラスではなく、民藝運動の精神を受け継いだ「日々の暮らしの中で使われてこそ輝く実用ガラス」を一貫して志向してきました。
読谷村の工房内は、1000度を超える溶解炉の熱気と職人たちの緊密な連携で満ちています。吹き竿に巻き取られたガラスの種は、息を吹き込まれ、濡れた新聞紙や木型を使って手早く形作られていきます。一見シンプルに見えるコップの縁の処理ひとつ取っても、唇に触れた瞬間に違和感がないよう、熟練の感覚で丸みが整えられています。
松田氏はインタビューや現場の取材において、次のような趣旨の哲学を一貫して語っています。
「飾っておくための工芸品ではなく、毎日の朝食やお茶、晩酌のときに自然と手が伸びるコップを作りたい。使い手が気兼ねなく使って、暮らしの中で愛着を深めてもらえることが一番の喜びです」
この言葉通り、清天のガラスは過度な装飾を削ぎ落とし、素朴でありながらどこかモダンな佇まいを持っています。そのため、和食器はもちろん、北欧家具やヴィンテージの洋食器と並べても違和感なく溶け込む包容力があります。