鶴瓶の息子・駿河太郎の真実|二世隠しの下積みから実力派俳優へ
駿河太郎の表現者としての原点は、演劇ではなく音楽でした。兵庫県立兵庫工業高等学校を卒業後、本格的に音楽を学ぶためにイギリス・ロンドンへ約2年間留学。帰国後の2003年、25歳のときに「taro」名義で東芝EMIからメジャーデビューを果たします。 その後、ロックバンド「sleepydog」を結成してボーカル&ギターとして精力的にライブ活動を展開しましたが、音楽業界の荒波の中で商業的な大成功を収めるには至りませんでした。30歳という人生の節目を前に自身のキャリアを冷静に見つめ直した太郎は、2008年、表現の場を音楽から芝居へと大きく舵を切る決断を下します。 俳優への転身にあたり、彼は「笑福亭鶴瓶の息子」という最大の武器であり足枷でもある看板を完全に封印しました。事務所のプロフィールやオーディション現場では親の存在を一切明かさず、無名の新人俳優として端役や小規模な舞台のオーディションを泥臭く受け続ける日々を選んだのです。 転機が訪れたのは2011年、NHK連続テレビ小説『カーネーション』でした。ヒロイン・小原糸子(尾野真千子)の夫となる小原勝役に抜擢された太郎は、戦前・戦中を生きる実直で優しい職人気質の夫を好演。視聴者の涙を誘い、一躍全国区にお茶の間へその名を知らしめました。 さらに2013年、社会現象となったTBS系日曜劇場『半沢直樹』に出演。破綻寸前の老舗「伊勢島ホテル」の再建に苦悩する若き湯浅社長役を熱演し、主演の堺雅人と互角に渡り合う重厚な演技を披露しました。この作品を通じて、業界内でも「親の七光りではなく、本物の芝居ができる役者」としての評価を不動のものにしました。