ヒグマの生息地域は本州にも?市街地出没の真相と危険エリア徹底解説
本州侵入の噂が否定される一方で、本来の生息地である北海道内では深刻な地殻変動が起きています。道が公表している北海道ヒグマ分布マップを時系列で比較すると、かつては日高山脈や大雪山系、道東の奥山に限られていた分布エリアが、道南から道北、さらには日本海側の丘陵地にまで隙間なく広がっている実態が浮き彫りになります。
北海道環境生活部が取りまとめたモニタリングデータによると、北海道ヒグマ推定個体数は約1万1,700頭から1万2,000頭(中央値)に達しており、1990年頃の推定値(約5,200頭)から約30年間で2倍以上に膨れ上がっています。1989年に春熊駆除制度が廃止され、保護管理政策へと舵を切った結果、個体群の急回復が進んだためです。
特に世界自然遺産を擁する知床半島における知床ヒグマ生息密度は、世界有数の過密水準を記録しています。知床半島先端部では100平方キロメートルあたり15〜20頭以上が密集し、海岸線や河口部で複数の個体が視界内に同時に現れる光景も珍しくありません。高密度化に伴い、力関係で劣る若グマや子連れの母グマが餌場を追われ、より人間活動の盛んな沿岸部や農地周辺へと押し出される「個体群の玉突き現象」が生じています。