ヒグマの寿命は何年?野生と飼育下で倍違う驚愕の最高齢記録と死因の真相
野生のヒグマは外見だけで正確な実年齢を割り出すことが極めて困難です。体が大きく見えても栄養状態が良いだけの若い個体もいれば、小柄ながら歴戦を生き抜いた高齢個体も存在します。そこで研究者や行政が頼る決定的な手法が、ヒグマの歯の年輪による年齢査定(セメント質年輪法)です。
主に捕獲個体や遺体から採取した第1前臼歯(P1)を切片化して顕微鏡下で観察すると、樹木の年輪のように毎年一層ずつ堆積するセメント質の縞模様が現れます。ヒグマは冬眠期間中に食事を断ち代謝を落とすため、夏から秋の成長期に形成される幅の広い帯と、冬季に形成される極めて細い暗色の帯が明瞭な層を成します。この年輪を数えることで、月齢単位に近い精度で厳密な年齢特定が行われます。
この年齢査定データが浮き彫りにするのは、ヒグマの子グマの生存率のシビアさです。1〜2月に冬眠穴の中でわずか400グラム前後の未熟な状態で誕生した子グマは、生後1年目を終えるまでに約40〜50%が命を落とします。母グマの母乳不足や厳しい寒波だけでなく、春から初夏にかけての繁殖期に、発情していない母グマを再び発情させるため他の成獣オスが子グマを襲って捕食する「子殺し」が頻発するためです。自然界の洗礼をくぐり抜け、成獣となる3〜4歳に達すること自体が、確率的に大きなハードルとなっています。