アルピニズムの常識を覆した名手・中島健郎の記憶――K2西壁の悲悲劇から2年、残された映像と登山哲学が問いかけるもの
2024年7月、中島と平出は長年の夢であったK2西壁に挑んだ。標高8,611メートルを誇る「非情の山」K2の中でも、西壁は未だ誰も登り切ったことのない最難関のルートだ。世界中のクライマーが注視する中、二人は着実に高度を上げていった。
しかし、標高7,500メートル付近で不運な事故が襲う。滑落の報が届き、救援チームが現地へ向かったものの、急峻な地形と二次災害の危機から救助活動は難航を極め、最終的に捜索は打ち切られた。彼らは愛した山の一部となり、その魂は今もK2の激しい風の中に留まっている。最期の瞬間まで、彼らは自らが選んだ美しき挑戦の道の上にいた。