欲しいものがわからない本当の理由|疲労が消す物欲の真相

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心理的な抑圧だけでなく、純粋に神経科学的な見地から見ても、欲求の消失は心身が発するレッドカードに他なりません。日々の業務やスマートフォンを通じた膨大な情報摂取によって、私たちの脳、とりわけ意思決定を司る前頭前野は常にキャパシティの限界で稼働しています。

何千もの選択肢を比較検討し、レビューを吟味し、最安値を調べ上げるプロセスは、想像以上に莫大な精神的エネルギーを消費します。慢性的な過労状態にある脳は、これ以上の認知的負荷を回避するため、欲求そのものを麻痺させる「感情のシャットダウン」を選択するのです。これは心理学で言う「アパシー(無気力)」の初期症状でもあります。

取材に応じた心療内科医は次のように証言しています。「休日に何を食べていいかわからない、買いたい服が全く見当たらないという主訴で訪れる患者の9割以上に、重度の睡眠不足や自律神経の乱れが確認されます。物欲がないのではなく、欲求を処理するためのエネルギー残量がゼロになっている状態です」。

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