かんなぎ騒動の真相と炎上の背景|武梨えりの現在と完結までの軌跡
炎上が最高潮に達していた2008年12月、『月刊ComicREX』編集部より武梨えり先生の「急病による無期限休載」が突如発表されました。ネット上では「オタクの誹謗中傷が作者を精神的に追い詰めた」という言説が瞬く間に定説化しましたが、真相は精神疾患ではなく、致死率の高い脳血管疾患「くも膜下出血」の発症でした。
武梨先生は後に刊行された闘病エッセイコミックや公式インタビューにおいて、当時の生々しい体験を告白しています。激しい頭痛に襲われて救急搬送され、一時は生死の境を彷徨う開頭手術を受けたこと、過酷なリハビリテーションを乗り越えて執筆活動への復帰を目指した経緯が語られました。炎上と発症時期が偶然にも重なったことで因果関係が誤解されたものの、医学的事実としての休載理由は明白な急性疾患でした。
約2年半の休養を経て2011年9月号より連載が再開されると、問題視された「かんなぎ ナギ 過去」の真相が物語の中で明かされていきます。ナギの記憶にあった男性は過去の巫女に仕えていた存在であり、ナギ自身が受肉する過程で吸収した「地域の怨念や穢れ」が精神的な影となっていたことが判明。男性との性的関係などは一切存在せず、読者の邪推であったことが完全に証明されました。
そして2017年、物語は第12巻をもって完結。最終回では、ナギが自らの神としての宿命を受け入れつつ、主人公・御厨仁(みくりや じん)との揺るぎない絆を取り戻し、神様と人間という境界を越えた温かな日常へ帰還する感動的な結末を描き出しました。