フジテレビの目玉マークはなぜ誕生?ロゴの由来と真相に迫る
この革新的なロゴを制作したのは、日本を代表するイラストレーター・画家のデザイナー 吉田カツ(よしだ・かつ、1940–2011)氏です。吉田氏は、エネルギッシュな筆致と鮮烈な色彩感覚で国内外の広告や雑誌のアートワークを手掛け、国際的にも極めて高い評価を受けていたアーティストでした。
目玉マークの意味について、吉田氏は生前のインタビューや制作ノートにおいて、単なる監視の目や無機質なレンズではなく、「人間の視覚」「好奇心」「未来を見つめる鋭い感性」「温もりのある人間性」を表現したと明かしています。
1980年代の日本のCIデザインは、定規とコンパスで引いたような幾何学的でシャープなロゴ(無機質なコーポレートカラーの直線的な造形)が主流でした。しかし吉田カツ氏が提出したデザインは、あえてフリーハンドのような有機的な曲線で描かれ、瞳の中央部分も完全な真円ではなくわずかに歪みを持たせた、極めて「生々しい人間の生命感」を宿すものでした。
「テレビを見る人の目」であり、「時代を見つめる作り手の目」でもある――。この双方向の視線が交差するコミュニケーションの原点を表現したデザインは、冷たい企業イメージを脱ぎ捨て、視聴者の日常に寄り添う親しみやすさを生み出すことに成功しました。現在ではフジテレビ社章の意匠としても採用され、社員や関係者の誇りの象徴となっています。