『満月をさがして』結末の真相と原作・アニメの違いを徹底解剖
長年ファンの間で語り草となっているのが、満月をさがしての結末におけるタクトの生存ルートです。死神コンビ「ねぎラーメン」として満月の余命宣告に現れたタクト・キラの本名は吉良托人(きら・たくと)。実は、彼は最初から完全に死亡していたわけではありませんでした。
原作漫画において明かされた真実は、当時の読者に凄まじい衝撃を与えました。吉良托人はかつて満月の亡き父・神山古雅とともに伝説のバンド「ROUTE:L(ルート・エル)」のボーカルを務めていた実在の人間でした。しかし、喉に悪性腫瘍を患い、歌声を奪われる手術を宣告された絶望から、バイクで海に飛び込み自殺未遂を図った過去を持っていたのです。死神界の冷徹な掟として「自殺した人間は死神になる」という設定があり、托人の魂は肉体を離れて死神タクトとなっていました。しかし、現実世界において彼の肉体は病室で心停止することなく、植物状態(昏睡状態)のまま医療機器につながれて生き続けていたのです。
最終盤、満月への無償の愛を通じて死神としての記憶と生前の未練を清算したタクトは、自らの肉体へと帰還を果たします。そして数年後、喉の手術を乗り越えて自らの声で歩み始めた満月の前に、記憶を取り戻した大人の吉良托人として現れ、2人はしっかりと抱き合って愛を誓い合います。12歳だった満月と青年・托人の年齢差を乗り越えたこの結末は、切なくも確かな救済を描いたハッピーエンドとして完結しました。
対照的に、2002年4月から2003年3月までテレビ東京系列で全52話が放送されたテレビアニメ版では、放送コードや児童層への配慮から設定が再構築されました。アニメ版では、タクトは病気によって命を落とした過去を持つ存在として描かれ、最終回では自らの存在を賭けて満月の最終コンサートを守り抜きます。その献身が天界に認められ、後述するめろこの尽力によって「人間として新たな命を授かり、満月と現世で再会する」という、奇跡と輪廻のニュアンスを含んだ感動的なフィナーレを迎えました。