摩多以とは何者か?読み方や由来・聖書マタイとの関係と真相を徹底解剖
では、その表記の主である「人物・摩多以(マタイ)」とはどのような人物だったのでしょうか。聖書や歴史書を紐解くと、彼の生涯はきわめてドラマチックであり、現代の創作物において格好のキャラクター造形の元ネタとされる理由がよく理解できます。
使徒マタイは、最初から聖人君子だったわけではありません。イエスと出会う前の彼は、カペナウムという町でローマ帝国の手先として同胞から税金を取り立てる「取税人(しゅぜいにん)」を務めていました。当時のユダヤ社会において取税人は、過度な中間搾取を行う汚職の温床とみなされ、「罪人」「裏切り者」と同義の激しい社会的侮蔑の対象でした。
しかし、イエスは収税所に座っていたマタイに「わたしに従いなさい」と声をかけ、マタイはその場ですべてを捨てて立ち上がり、弟子となりました。この劇的な「社会的階層からの脱落と霊的回心」のエピソードこそが、マタイという人物の根幹にあります。
彼が記したとされる『摩多以による福音書(マタイによる福音書)』は、イエスを旧約聖書の預言を成就する「ダビデの子(正統な救世主)」として描くことを重視しており、冒頭から延々と厳格な家系図が並ぶ構成をとっています。また、有名な「山上の垂訓(心の貧しい者は幸いである)」を克明に記録したのもマタイです。緻密な記録魔であり、元官僚的な視点を持つ使徒という属性が、近現代の小説や漫画、ゲームの脚本家たちを強く惹きつけてやまない源泉となっています。