なぜ無効ではなく無権代理?民法108条「自己契約・双方代理」を徹底解説

なぜ無効ではなく無権代理?民法108条「自己契約・双方代理」を徹底解説についての疑問解決ガイドをご紹介します。

2020年の民法改正における最大の変更点のひとつが、民法108条第2項の新設です。これまでは第1項の「自己契約・双方代理」という形式的な要件しか条文になかったため、形式上は第三者との契約であっても実質的に本人と代理人の利益が対立する「利益相反代理」をどう処理するかが課題でした。

新設された第2項では、「代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす」と規定されました。例えば、親権者(法定代理人)が自分自身の借金の担保として、未成年の子どもが所有する不動産に抵当権を設定するようなケースです。外形上は「親と金融機関の契約」であっても、親が得をして子どもが一方的に不利益を被る構造であれば、この第2項によって無権代理とみなされます。

実務や試験で混同しやすい論点に、民法107条(代理権濫用)との違いがあります。

民法107条の「代理権濫用」は、取引自体は本人のために行われているように見えながら、代理人が心の中で「着服してやろう」といった背任的な意図(主観的意図)を持っているケースを想定しています。相手方がその悪意や過失を知っていた場合に限り、無権代理とみなされます。

対照的に、民法108条第2項の「利益相反」は、代理人の内心の意図ではなく、行為の客観的な性質として「一方の利益が他方の不利益になる」構造が存在するかどうかで客観的に判定されるという明確な違いがあります。

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