なぜ習近平はプーさんを徹底排除?映画禁止にまで至った規制の真相
西側のメディアやソーシャルメディア上でしばしば散見されるのが、「中国ではプーさんというキャラクターそのものが国家から抹殺され、ディズニーランドからも追放された」という言説です。しかし、これは現場の事実とは大きく乖離した典型的なネット上の誤解です。
上海ディズニーランドの現場を取材・観察すると、ファンタジーランド内にある人気ライドアトラクション「プーさんの冒険(Many Adventures of Winnie the Pooh)」は長蛇の列を作り、通常通り稼働を続けています。パーク内のショップではプーさんのぬいぐるみ、カチューシャ、アパレルグッズが堂々と販売されており、年間パスポート保持者の若者たちがプーさんのグッズを身につけて記念撮影を楽しむ光景はごく日常的です。
なぜリアルのパークでは許容され、ネット空間では厳しく取り締まられるのか。その背景には、中国当局の「商業的リアリズム」と「政治的シンボル管理」の徹底した峻別があります。上海ディズニーランドは、上海市政府傘下の国有企業「上海申迪集団」が57%の株式を保有する巨大合弁事業です。外資導入のシンボルであり、莫大な観光税収と雇用を生み出すプロジェクトにおいて、無用なキャラクター追放を行えば、海外投資家への悪影響と国際的嘲笑を招きかねません。
つまり、「商業IPとしてのプーさん」は外貨を稼ぎ人民を楽しませるコンテンツとして容認する一方、「指導者を揶揄・風刺する記号としてのプーさん」はネット空間からミリ秒単位で駆逐する。この冷徹極まりないダブルスタンダードこそが、中国の情報統制の本質的な構造なのです。