牛の角の中身は骨と血管?折れると大出血の真相と除角の現在地

牛の角の中身は骨と血管?折れると大出血の真相と除角の現在地に関する基本知識を初心者にも親しみやすくまとめました。詳細を読もうことができます。

「牧場で見るホルスタインに角が生えていないのはなぜか?」という疑問の答えは、品種によるものではなく子牛の段階で人為的に角を取り除く「除角(じょかく)」を行っているからです。アンガス種など一部の無角種を除き、一般的な乳牛(ホルスタイン)や肉牛(黒毛和種)は雌雄を問わず角が生えます。

酪農家や肥育農家があえて除角を行う主な理由は3つあります。

  1. 牛同士の闘争による外傷防止:密集した牛舎や放牧地で突っつき合いが起きると、角が腹部や乳房に突き刺さり、皮下出血や重篤な内臓損傷(肉質低下や廃用)を招く。
  2. 作業者の安全確保:体重600〜800kgを超える巨体が頭を振った際、角が農家や獣医師に直撃すれば骨折や内臓破裂など命に関わる労災事故になる。
  3. 牛舎設備への挟まり事故防止:スタンチョン(給餌用の固定柵)やフェンスに角が引っ掛かり、前述のような大出血を伴う角折れ事故を防ぐ。

しかし、除角を巡っては牛の角の除角と動物福祉(アニマルウェルフェア)の反応が国際的に大きな議論を呼んできました。かつては成牛になってからノコギリや大型カッターで麻酔なしに角を切り落とす粗暴な手法も一部で行われており、激痛によるストレスが問題視されていました。

2026年現在の畜産現場では、農林水産省の飼養管理指針や国際獣疫事務局(WOAH)の基準に沿い、パラダイムシフトが定着しています。角の骨と頭蓋骨がまだ癒合していない生後数週間〜2ヶ月以内の幼齢期に、局所麻酔薬(プロカイン等)や鎮痛剤(NSAIDs)を適切に投与した上で、角芽(かくが)を高熱アイロンで焼灼する「除角(ディスバディング)」が標準化されつつあります。痛みを最小限に抑え、牛のストレスフリーを担保することが、乳量や肉質の向上にも直結するという科学的根拠が現場に浸透しているのです。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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