乞食とは?実は仏教用語だった!現代のネット乞食が違法になる真相を解説
「乞食」という漢字表記を見て、多くの人がまず抱くのはネガティブな印象でしょう。しかし、仏教本来の教義において、この言葉は「こつじき」と発音され、釈迦の時代から続く崇高な修行法の一つ「托鉢(たくはつ)」を指す言葉でした。サンスクリット語の「ピンダパータ(食を乞うこと)」に由来し、自らの衣食住に対する執着を断ち切り、信者に対して施しをする機会を与えて功徳を積ませるという、純粋な利他行として位置づけられていたのです。
ところが中世から近世へと時代が移り変わるにつれ、社会的な意味合いは大きく変容します。天災や飢饉、戦乱によって生活基盤を失い、寺社勢力の庇護から外れた困窮者が、生き延びるために路上で金銭や食料を無心する行為全般が「こじき」と呼ばれるようになりました。江戸時代の身分制度においては被差別階層として扱われ、都市の周縁部に追いやられた歴史的経緯が存在します。
こうした出自差別や身分差別の文脈が色濃く残った結果、昭和から平成のメディア業界において、乞食は厳格な放送禁止用語(差別表現・不適切表現)として扱われるに至りました。日本民間放送連盟(民放連)の放送基準ガイドラインや各新聞社の用字用語集では、人格を傷つける差別的語句として使用が制限されており、報道現場では「物乞い」や「路上生活者」「生活困窮者」といった客観的な表現への言い換えが徹底されています。