親学とはなぜ批判されたのか?発達障害をめぐる炎上と現在を徹底追跡
ネット上の情報や議論を見ていると、親学に関して大きな誤解が生じている場面が少なくありません。最大の盲点は、文部科学省や各自治体が実施している健全な「家庭教育支援(親学習)」と、特定のイデオロギーに基づいた「親学推進運動」との混同です。
多くの自治体で行われている一般的な子育て講座や「親学習」は、新米の親たちが地域で孤立しないようピアサポート(親同士の語り合い)の場を提供し、乳幼児の安全対策や現代的な児童心理学を学ぶワークショップです。これらは「親を孤立から救い、子育ての負担を分担する」ことを目的としています。
一方で、高橋史朗氏らが主導した「親学」は、明確な政治的・復古主義的な意図を持っています。「戦後レジームからの脱却」を家庭教育の文脈で達成しようとし、母親に過度な育児責任を負わせることで、国家や自治体が個人の私生活に道徳的指導を行うことを正当化しようとしました。この二者を混同してしまうと、「親が学ぶこと自体が悪なのか」「親学を批判する人は子育ての努力を否定しているのか」といった的外れな反論に陥ってしまいます。批判されているのは「親の学び」そのものではなく、「科学的根拠を偽装した自己責任論の押し付けと家庭への政治介入」なのです。