全国で深刻化する警察の人手不足|若手の早期退職と採用危機の真相
かつて「安定した公務員職」の代名詞として高い人気を誇った警察官採用試験が、歴史的な転換期を迎えています。警察庁が公表した最新統計および各都道府県警察の発表資料によると、全国の警察官採用試験における平均倍率は2.5倍〜3.0倍前後まで落ち込み、ピーク時(2000年代初頭の約10〜12倍)と比較して3分の1以下にまで縮小しました。
特に地方の県警察本部における危機は深刻です。一部の県警では、大卒・高卒を問わず男性・女性区分ともに合格者数が採用予定人数に届かない「定員割れ」が相次いで発生しています。少子化に伴う生産年齢人口の急減に加え、民間企業が初任給の大幅引き上げや完全週休2日・テレワークの普及を進めるなか、過酷な勤務体系が敬遠され、警察官の志望者数が激減している現実があります。
採用倍率の低下は、単に「枠が埋まらない」という数理的な問題にとどまりません。かつては厳しいペーパーテストや身体検査、厳格な人物面接を経て選りすぐられていた人材像に対し、現在は「落とすための試験」から「集めるための試験」への変質を余儀なくされています。現場幹部からは「基礎的な職務適性や精神的耐性に疑問符がつく応募者であっても、頭数を揃えるために合格を出さざるを得ない局面がある」という苦渋の声すら漏れています。