舌の正しい位置はどこ?二重あご・歯並び悪化を招く「低位舌」の衝撃真相
成人男性で約200g、筋力発揮時には局所的に数百グラム以上の圧力を生み出す舌は、口の中における「天然の歯列矯正装置」とも呼べる強大な筋肉の塊です。正常な状態であれば、上あごに張り付いた舌が内側から歯列弓を押し広げ、外側からの頬や唇の筋肉の圧力と拮抗することで、美しいU字型の歯並びが保たれます。
ところが低位舌になると、上あごを内側から支える圧力が消失します。結果として頬の筋肉に押された上顎歯列はV字型に狭窄し、押し出された前歯が出っ歯(上顎前突)になったり、舌が上下の前歯の隙間を押し広げて噛み合わなくなる「開咬(オープンバイト)」を引き起こします。春藤歯科医院の臨床解説でも指摘されている通り、大人の後天的な歯並び崩壊やすきっ歯の主因は、加齢そのものよりも低位舌に伴う異常嚥下癖(飲み込むたびに前歯を舌で押す癖)にあるケースが後を絶ちません。
さらに深刻なのが顔貌のたるみです。舌の根元を支えているのは「舌骨上筋群(ぜっこつじょうきんぐん)」と呼ばれる首の前側の筋肉群ですが、舌が下がるとこの筋肉が常に弛緩した状態に陥ります。その結果、顎下部の皮膚や脂肪を支えきれなくなり、痩せている人であっても構造的な二重あごが形成されてしまいます。舌を正しい位置へ引き上げることは、オトガイ筋の過度な緊張を解き、下顎の輪郭をシャープに引き締めるための解剖学的な必須条件なのです。