「死を想え」の真意とは?メメント・モリの起源と人生を好転させる教訓
「死を想え」の真意とは?メメント・モリの起源と人生を好転させる教訓について知っておくべき 理由を分かりやすい構成で解説いたします。
「死を想え」は、ラテン語表記で「Memento mori(メメント・モリ)」と綴られます。「memento」は「心に留めよ、記憶せよ」を意味する命令形であり、「mori」は「死ぬこと」を指す動詞の不定詞です。直訳すれば「自分がいつか必ず死ぬ身であることを忘れるな」となります。英語表記では一般的に「Remember that you must die」や簡潔に「Remember death」と訳されます。
この言葉の最も古いルーツの一つとして知られているのが、古代ローマの凱旋式(トリアンフス)における風習です。対外戦争で輝かしい大勝利を収めた将軍は、紫のトーガをまとい、4頭立ての馬車に乗ってローマ市内をパレードする特権を与えられました。市民からの熱狂的な歓声と神のごとき賛美を浴びる将軍――その絶頂の瞬間、馬車の背後には一人の公有奴隷が同乗していました。
奴隷の役割はただ一つ。歓喜に沸く将軍の耳元で、絶え間なく次のようなラテン語の警告を囁き続けることでした。
「Respice post te. Hominem te esse memento. Memento mori.(後ろを見よ。汝が人間であることを思い出せ。死を想え)」
どれほど圧倒的な権力を握り、神格化されようとも、人間である以上は必ず肉体の死を迎える。古代ローマ社会において、この儀礼は勝者の傲慢(ヒュブリス)を厳格に戒め、人間としての理性を保たせるための不可欠な安全装置だったのです。