『Spec』当麻紗綾の衝撃!戸田恵梨香が宿した鬼気迫る演技論
当麻紗綾という強烈な個性を形作るため、裏では壮絶な役作りが敢行されていた。監督の堤幸彦からのリクエストは、それまでの戸田のイメージを完全に解体すること。すっぴんに近いメイク、癖毛をそのまま活かした無造作な髪型、そして大盛りのニンニク餃子を豪快に口へ運び続けるシーンの数々。彼女は女優としてのパブリックイメージを一切脱ぎ捨て、泥臭い役作りに全身全霊で没入した。
撮影現場での逸話も語り草となっている。常に左腕を吊るしたギプス姿でのアクションは身体的負担も大きく、過密スケジュールも相まって極限状態での撮影が続いたという。しかし、その過酷さこそが当麻の持つ「限界ギリギリの狂気」をリアルに炙り出す結果となった。戸田自身も後に「自分の演技の概念を一度ぶち壊された作品」と振り返るほど、当麻役は彼女のキャリアにおける最大の転換点となったのだ。