スリリングとは?スリルとの決定的な違いとハラハラにハマる心理の正体とはどのようなものなのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
混同されやすい関連語の整理は、表現の正確性を保つうえで欠かせません。もっとも身近な「スリル(名詞)」と「スリリング(形容詞)」の決定的な違いは、感情そのものを指すのか、それをもたらす対象の性質を指すのかという文法上の立ち位置にあります。「スリル(恐怖と興奮が入り混じった刺激)を味わう」「スリリングな(刺激を与える性質を持った)展開」という関係性です。
さらに、映像作品や文芸批評で頻出する「サスペンス」や「スリラー」との差異について、エンタメ業界の演出構造と心理誘導の観点から比較したデータが以下の通りです。
項目・用語詳細・語源的メカニズム心理状態・感情のベクトル編集部の見解・使い分けの基準スリリング
(形容詞)対象がゾクゾクする緊張感や刺激を孕んでいる状態。興奮度:極めて高い
恐怖と高揚感の融合体験や展開の「刺激の強さ」を客観的・主観的に修飾する際に最適。スリル
(名詞)危険や緊張によって引き起こされる身体的・心理的興奮そのもの。興奮度:直接的
心拍数上昇・鳥肌「スリルを求める」「スリル満点」など、感情の受け皿として使用。サスペンス
(名詞/ジャンル)語源は「宙づり(suspend)」。結末が分からない宙ぶらりんの不安。持続性:じわじわ続く
不安・謎・焦燥感「どうなるのか?」という情報の非対称性や心理的宙づり状態を指す。エキサイティング
(形容詞)感情を激しく揺さぶり、熱中・熱狂させる性質。快感度:前向きな高揚
危険要素は低〜中危険や恐怖を伴わないスポーツ観戦や祝祭の熱狂にはこちらが適切。
巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督が生前、インタビューで遺した有名な定義があります。「観客にテーブルの下の爆弾を見せず、突然爆発して驚かせるのがサプライズ(恐怖)。観客にあらかじめ爆弾の存在を知らせ、いつ爆発するかと身を乗り出させるのがサスペンスである」。そして、そのサスペンスが極限に達し、登場人物が命懸けで信管を抜こうとする一瞬の緊迫感こそが「スリリング」と位置づけられます。
池田 達也
マネー&キャリアエディター
Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。