トレンデレンブルグ歩行の原因と見分け方!骨盤低下を防ぐ改善リハビリ法
歩行周期において、片脚が地面から離れて前方に振り出される「遊脚相」では、体重を支えている「立脚相」側の骨盤を水平に保持しなければなりません。この水平保持を担う主動作筋が、骨盤の側面に位置する中臀筋(ちゅうでんきん)です。
健常な状態であれば、立脚側の股関節外転筋群が強力に収縮し、重力によって下垂しようとする遊脚側の骨盤をテコの原理で引き上げます。しかし、何らかの理由で立脚側の中臀筋が機能不全に陥ると、骨盤を支えきれずに反対側の骨盤が落ち込む現象が発生します。これがトレンデレンブルグ徴候の陽性反応であり、この状態で歩き続ける異常パターンがトレンデレンブルグ歩行です。
臨床データおよび整形外科的知見から明らかになっている主な発生要因は、以下の4つに大別されます。
- 中臀筋の筋力低下・機能不全:加齢による筋萎縮や廃用症候群、長期間の免荷による局所的な筋力低下。
- 上臀神経麻痺の症状:仙骨神経叢から中臀筋・小臀筋・大腿筋膜張筋へと走る上臀神経の圧迫や損傷(筋肉内注射の合併症、骨盤骨折、術後侵襲など)。
- 変形性股関節症に伴う歩行分析異常:関節軟骨の摩耗や骨棘形成による骨頭の求心位破綻、大腿骨頭の短縮によるレバーアームの短縮。
- 先天性股関節脱臼・臼蓋形成不全の後遺症:小児期の脱臼や形成不全に起因する大転子の高位化、または骨頭支持性の欠如による跛行。
特に変形性股関節症を抱える患者の場合、股関節の変形によって大転子(中臀筋が付着する骨の出っ張り)と骨盤の距離が縮まります。その結果、中臀筋の走行ベクトルが変化して十分な張力を発揮できなくなる「構造的レバーアームの破綻」が引き金となるケースが後を絶ちません。