なぜ椿は茶花の女王なのか?炉の季節を彩る名花と選び方・禁忌の全知識
椿には数百を超える園芸品種が存在しますが、茶席で古くから格別の扱いを受ける名椿があります。それぞれの特徴と背景を知ることで、茶席の趣向がより深く味わえます。
西王母(せいおうぼ)
9月下旬から咲き始める早咲き椿の代表格。淡い桃色に外側がほんのり紅色を帯びるぼかしが美しく、中国神話の不老不死の仙女「西王母」が持つ桃に似ていることから名付けられました。開炉の茶席はもちろん、秋口の茶会でも格調高い彩りを添えます。
初嵐(はつあらし)
秋風が吹き始める頃に咲き出す、白の一重咲き品種。筒咲きからラッパ咲きへと移ろう端正な花姿が特徴で、利休の時代から茶人に愛されてきました。11月の開炉の席において「まず最初に使いたい椿」として重宝されます。
白玉椿(しらたまつばき)
別名「初笑(はつわらい)」とも呼ばれる、丸みを帯びた純白の極上品種。ふっくらとした抱え咲きの姿はまるで上質な白玉団子のようで、清純無垢な美しさを放ちます。初釜や格式高い茶席には欠かせない、茶花の定番中の定番です。
その他の人気品種
京都の古刹に由来する「加茂本阿弥(かもほんあみ)」や、可憐な侘助(わびすけ)系の「太郎冠者(有楽)」、濃紅の一重が印象的な「紅妙蓮寺(こうみょうれんじ)」など、席のテーマや取り合わせに応じて多彩な名花が使い分けられます。